「原爆投下に対する日本政府の抗議文」 奥之院通信 R3 8/10

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今から76年前の今日、1945年8月10日、日本政府は中立国スイスを通じて、米国政府に「米国の新型爆弾による攻撃に対する抗議文」を出した。日本政府はこの犯罪に対し、直ちにアメリカ政府に対し、抗議文を出している(ただし、長崎についてはこの前日9日であるため、まだここには記されていない)。

 この「抗議文」は、米軍が昭和20年8月6日、事前警告なく広島に原爆を投下し、一般市民を大量虐殺したことに対し、そのわずか4日後の8月10日に、日本政府がスイスを通じて、米国政府に出したものである。抗議の宛先は「アメリカ政府」となっているが、実質世界の支配者「奥の院」に宛てたものである。

 この「抗議文」において日本政府は、原爆投下を、それまでの都市に対する無差別爆撃とともに、「国際法および人道の根本原則を無視」したものだと厳しく批判している。この「抗議文」にある日本政府の態度こそが、原爆による日本人大虐殺対にする我が国の基本姿勢の原点である。したがって、日本国は常にこの抗議文を発し続けなければならない。そうしなければ、今の人類文明は悉く破壊されることになる。ここにその内容を記す。

「米国の新型爆弾による攻撃に対する抗議文」

 「本月6日米国航空機は、広島市の市街地区に対し新型爆弾を投下し、瞬時にして多数の市民を殺傷しこの都市の大半を潰滅せしめたり。

 広島市は、何ら特殊の軍事的防衛・施設を施し居らざる、普通の一地方都市にして、この市全体として一つの軍事目標たるの性質を有するものに非ず、本件爆撃に関する声明において、米国大統領トルーマンは、『われらは船渠(せんきょ)工場および交通施設を破壊すべし』、と言ひをるも、本件爆弾は落下傘を付して投下せられ、空中において炸裂し、極めて広き範囲に破壊的効力を及ぼすものなるを以つて、これによる攻撃の効果を、いうが如き特定目標に限定することは物理的に全然不可能なこと明瞭にして、いうが如き本件爆弾の性能については米国側においても、すでに承知しをるところなり。

 また実際の被害状況に徴するも、被害地域は広範囲にわたり、この地域内にあるものは、交戦者、非交戦者の別なく、また男女老幼を問わず、すべて爆風および幅射熱(放射熱)により無差別に殺傷せられ、その被害範囲の一般的にしてかつ甚大なるのみならず、個々の傷害状況から見ても、未だ見ざる惨憺なるものと言ふべきなり。

 聊々、交戦者は害敵手段の選択につき、無制限の権利を有するものに非ざること、及び不必要の苦痛を与ふべき兵器、投射物其他の物質を使用すべからざることは、戦時国際法の根本原則にして、それぞれ陸戦の法規・慣例に関する条約とその付属書、陸戦の法規慣例に関する規則第22条、及び第23条(ホ)号に明定せらるるところなり。

 米国政府は、今次世界の戦乱勃発以来、再三にわたり毒ガスないしその他の非人道的戦争方法の使用は、文明社会の輿論により不法とせられをれりとし、相手国側において、まづこれを使用せざる限り、これを使用することなかるべき旨、声明したるが、米国が今回使用したる本件爆弾は、その性能の無差別かつ惨虐性において、従来かゝる性能を有するが故に使用を禁止せられをる毒ガスその他の兵器をはるかに凌駕しをれり。米国は国際法および人道の根本原則を無視して、すでに広範囲にわたり、(大日本)帝国の諸都市に対して、無差別爆撃を実施し来り、多数の老幼婦女子を殺傷し、神社仏閣・学校・病院・一般民家などを、倒壊または焼失せしめたり。

 而していまや新奇にして、かつ従来のいかなる兵器、投射物にも、比し得ざる無差別性・惨虐性を有する本件爆弾を使用せるは、人類文化に対する新たなる罪悪なり。大日本帝国政府は、ここに自からの名において、かつまた全人類および文明の名において、米国政府を糾弾すると共に、即時かゝる非人道的兵器の使用を放棄すべきことを、厳重に要求する。」

 以上が、今から76年前の今日、当時の大日本帝国政府が世界に向けて発した、核兵器による日本人大虐殺に対する抗議文である。この抗議こそが、あの時犠牲になられた日本人の静かな抗議であると同時に、世界を支配している「奥の院」に対する願いでもある。しかし、今ではこの抗議文のことは誰も言わないし、どこにも取り上げることがないのは極めて残念なことである。76年前に犠牲になられた方々は、きっとこの願いを叫び続けておられると思う。