あちらとこちら

600畳はあるだろうか。
木曾岬(きそざき)温泉の休憩場。
ここの正面に、昔懐かしい舞台があって、
なんとか演歌アカデミーの生徒さんや先生が
演歌している。
温泉客の常連さんとデュエットしたりも。
広いくつろぎの畳の上に寝そべって、
寝息を立てる人もいる。
酔っ払って、歌手の人に絡みつく男性。
歌は演歌。
聴衆の平均年齢は50歳を超えている。
なつかしい雰囲気はもうどこかに消え去った情景。


僕は薄暗いこの大広間の舞台と反対方向にある
2方の上のほうの窓から注ぎ込む光を見ていた。
幸せすぎた。
家族で来ている。
お母ちゃんが浮かぶ。
なんでこんなに幸せなんだろう。
こちらは闇。
あちらは光。
僕はここにいる。
たくさんの人生。
老いた人々。
どんな人生だったのかは、
人々の顔の相が表してくれている。
みんな人生だったんだ。
こうしてここに来たんだから。
こうして会ったんだ。
こびる演歌の歌手の人達。
だれにもこびない人生は次なんでしょうか。
今日も来た黄泉の国。
なつかしさでいっぱいになった。
ありがとうございます