悲観は大禁物
いやしくも人間としてこの世に生を受けた以上は、
将来多かれ少なかれ、人の世の苦労が降りかかって
来ることでしょうが、しかしその際悲観は大禁物であります。
それどころか、これこそ自分を鍛え磨いてくれる神の
鞭と信じて、苦労のどん底にありながら、そこに人生の
教訓の泉を掘り当てるまで、全力をあげてこれと当面して
いかなければなりません。そうすることによって、
初めてわたくしたちは、まずは一人前の人間に
なれるというわけでしょう。
したがって偉い方のお話を伺って感心することも、
もちろん大切なことですが、同時にただそれだけに
留おまってはいけないと思います。そして何が一体
その方を、そのような立派な人にしたかと、
その根本に遡(さかのぼ)って考えてみることが大切です。
そして何とかして自分も、その方に負けないように、
一つやってみようという決心覚悟が、たとえ
ほのかながらも、心中に湧き出てくるようでなくては、
決して頼もしい人間とはいえないと思います