森 信三 運命をひらく 365の金言 5 「人生の真のスタート」

人生の真のスタート

 諸君らは生まれて20年、今こそここに
志を立てるべき時です。だが諸君!諸君らは、
誓って死後にも生きるような人間になろう、
という大志を立てたことが果たしてあると言えますか。
しかしこのような志が真に確立しない限り、
諸君らは真に深く自分の生命を愛惜するとは
言えないでしょう。何となれば、真の精神は
不滅であり、いかにに凡人といえども、その生涯を
深い真実に生きたなら、必ずやその死後、なんらかの
意味でその余韻を残しているからです。

 こういうわけですから、諸君らとしても今のうちに、
この「人生二度なし」という真理を痛感して、
いささかでもよいから、その精神が死後にも生きるような
人間になって戴きたいと思うのです。でなければ、
せっかくこの世へ人間として生まれて来た意義は
ないと言えましょう。

 同時にこの際大切なことは、人間がその死後にも
生きる精神とは、結局はその人の生前における
真実心そのものだといういうことです。すなわち、
その人の生前における真実の深さに比例して、
その人の精神は死後にも残るわけです。

 かくして人生の真のスタートは、何よりもまず
この「人生二度なし」という真理を、その人が
いかに深く痛感するかということから、始まると言って
よいでしょう。