常岡一郎 一日一語 運命をひらく言葉 7 「カラになる」 致知出版社

 力を出す仕事。しぼりきる生き方。その積みかさねが力のわく人。力の強い人になる。声を出す一方。かれはてて出ない。それでもふりしぼる。それが一声千両の歌手になっている。道理は同じである。金を出し切る。カラになる。この訓練が人相、手相を変える。

常岡一郎 一日一語 運命をひらく言葉 6 「粕を追うな」 致知出版社

  金で買えるもの。表面に現れるもの。身からはなれて行くもの。それは一切が粕である。金ではどうにもならぬもの。誰にもやれないもの。それが本当のその人のものである。

 ところが多くの人は粕を追いまわしている。金や富や名誉を追いかける。そのために大切な時間を空費している。疲れ果てて自分の本質まで汚している。自分をみがくことの尊さを見失っている

常岡一郎 一日一語 運命をひらく言葉 5 「大安心の運命」 致知出版社

 体力の強い人は骨身惜しまず働く。人の尊敬、人の憧れ、人の感謝。こうした明るい心の光にかえておく。働くほど金もできる。これをご縁ある人々にささげる。ご恩を受けた人々にささげる。報恩、感謝の徳の光を自分の心の中に育て上げる。この訓練の一日一日をたのしむ。これが大安心の運命を生む道である。

常岡一郎 一日一語 運命をひらく言葉 4 「われに勝つ 2」 致知出版社

 「われに勝つ」という。この場合のわれとは何であろうか。それは自己の我執である。わがままである。きままである。朝寝、無精、屁理屈・・・である。見にくい我執である。これに打ち克って朝も早く起きる。人のいやがることを、いそいそと果す。わがままを捨てて勤めきり。つくしきる。そうして人を喜ばせる。これが「われに勝つ」ことである。

常岡一郎 一日一語 運命をひらく言葉 2 「人のことを第一に」 致知出版社

人のことを第一に

 自分のことはあとまわしにして、つとめきる以外に徳のできる道はない。昔から、わがことと下り坂は急がぬものはないと言われているが、自分のことはあとまわしにしても、やがてきっとかたづく。まず人のことからやるのだ。

 朝起きる。歯をみがき顔を洗う。しかしこれは自分のことだ。それよりも、人の気持ちのいいように、まず便所の掃除をする。きびきびと動く。次から次と人のことをしていたら、とうとう自分の顔を洗うのを夕方まで忘れてしまっていた。

 このように、人のことを第一にしておれば、心は勇む。身は疲れても心は晴れる。やがて運命は明るく変わるに違いない。これが天を生かす生き方である。

常岡一郎 一日一語 運命をひらく言葉 1 「親からの手紙」 致知出版社

親からの手紙

 私にも経験がある。学生時代に親からもらう手紙は長い。身体を大切にせよ。しっかり勉強せよ。誘惑に負けるな。遊びに行くな と事細かく書いてある。その長い手紙を子供は短く読む。「さて今月はいくら送金してくれただろう」と要領よく読んでしまうことが多い。

 子どもから親に出す手紙は非常に短いのを通例とする。要点だけを簡単に書いてある。親はその短紙を長時間かけて読む。どうかすると三日も四日も繰り返して読む。書いててないことまでも読んで涙ぐんでいる。

 想いを子どもの上にはせる親心は涙ぐましい。この親心の切実さを知るならば、わが親、わが夫の親、わが妻の親にどれほど心をつくしても足りないのではあるまいか。

 親からいただいた手紙を毎日おし頂いて親の心に添うようにつとめるなら、世の中はどんなに美しくなるだろう。どんなに清らかになるだろう。自ら省みて恥じ入るばかりである。