2517「浦島太郎と黄泉の国」2021.11.15 自分で自分を自分するから

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今回は「いっぷくからのありがとう」さんの2021年11月09日の記事を紹介します。

「浦島太郎と黄泉の国」

今日は珍しい切り口で神の国と、人間の世界について書きたいと思います。

春日大社の元宮司、神道の最上階(浄階)まで行かれた葉室頼昭さんのお言葉を基にご紹介します。

日本神道では

神さまや先祖の皆さんがいらっしゃる国を、「黄泉の国」(よみのくに)

そして私たちが肉体を持って生きているこの世界を「現世」(うつしよ)

と呼びます。

日本では縄文の昔から人々は

この宇宙は、循環とバランスの上に成り立っていると知っていました。

それは神様がビッグバンを起こしてから150億年もの年月をかけて作り上げた世界です。

循環ですから

西洋式の考えの、除去、消し去る、取り去る という考え方ではありません。

私たちの魂も、神々や先祖のいらっしゃる黄泉の国から出てきて

肉体をまとい、一時の間、物質界つまり「うつしよ」で暮らしています。

松江市東出雲町にある、現世と黄泉の国の境目「黄泉比良坂」

そして 死とともに先祖の居る世界、神々の世界。つまり黄泉の国に戻ります。

私たちは誰でも、黄泉の国から、この世界に生まれてきました。

その世界は神の世界ですから

誰でもが、清らかな美しい世界から、この世に生まれたことになります。

つまり、

・意地悪をする人も

・心温かな人も

・聖人のような清らかな人も

・罪を犯す罪人も

全ての人が 黄泉の国から来ました。

つまり、どんな人でも 本来の心根は、清く、美しく、思いやりに飛んだ、心の持ち主であるということです。

心の中に恨み、つらみ、憎しみを持ち、地獄のような囚われの世界に居る人は

現世には、まだ生まれ変わって来れないということです。

これは裏返してみれば

自分にとって、どんな悪人でも、それはその人の本質ではなく、

何らかの目的を持って、その役割を演じているだけ・・と言うことになります。

その目的とは

私たちの魂を 研ぎ石のように研いで(苦しみ、悲しみ、悔しさ、恐れ、不安)

魂を輝させるという以外にありません。

その人たちの現世での裏に隠された

・神のような心

・温かな思いやりに満ちた心

を知るのは、お互いが、再び黄泉の国に帰ってからのことになるでしょう。

さて浦島太郎は、助けた亀の背中に乗って竜宮城で歓待を受けます。

そこは

見たこともないような美しく綺麗なところで、天井も床も、まばゆく光り輝き

何処からともなく、良い香りが漂い、美しい音楽まで響いています。

太郎は時を忘れ、楽しく過ごします。(玉手箱を開けたら 300年の時が過ぎていました)

この竜宮城とは、私たちが元来た所、つまり黄泉の国のことです。

神々が住み、先祖の皆さんが住んでいます。

その美しい世界は、

・時間もなく

・悩み、苦しみ、心配事さえありません。

幸せそのものの世界です。

そして私たちが生まれた時、無垢の魂は、そのような美しい世界から来たため

心に罪・穢れのシミ一つありません。赤ちゃんの無垢の笑顔はそれを表しています。

ですが、私たちは、成長するにつれ、大人になるにつれ、その美しき心を忘れ・病気

・悩み

・苦しみ

・心配事

ばかりの世界に、いつの間にか生きるようになってしまいます。

それは、私たちの心に潜んでいた、いえ、いつの間にか神様の氣を包み隠してしまう

自我(自分さえ良ければ良い)の心が、真実の神の世界を見えなくしてしまったからです。

※これを祓うのが神道では、祓い。清め となります。

もちろん

私たちの魂は、その自我による苦しみさえも見越したうえで

この世「うつしよ」に生まれて来ました。

何故なら、その苦しみが私たちの心を強くすることを知っていたからです。

私たちの心は、

・食べる物にも困らない、

・悩みなど一つもない

・いつも楽しいころばかりの生活

からは磨かれることがありません。

今、私たちが経験している

・悲しみ

・苦しみ

・悔しさ

は全て 苦しいことではあるけれど、心を輝かせるために一時だけ、経験していることです。

浦島太郎は、玉手箱をもらって再びこの世、つまり「うつしよ」に戻ってきました。

これは、黄泉の国と、現世を私たちの魂は循環(行き来)していることを象徴しています。

自然と同じく私たちの魂も 循環を繰り返します。

決して西洋の思想のように悪だからと、切り取られ、捨てられ、消滅されることもありません。自分の生活に邪魔だからと、除去されることもありません。

大祓祝詞が示す通り、例え悪であっても、全てを、黄泉の国を通過させ、美しき清らかなエネルギーに変えて戻されます。

この大いなる安心感。循環の心

正邪を超えて、全てを包み込む心を、私たちの祖先は持っていました。

私たちは神々の作ったこの宇宙の仕組み、循環とバランスの上で、

永遠の魂の向上を目指している最中です。

みんな、同じ道を歩む仲間です。人も、動物も、植物も。そして自然現象でさえも。

積もった雪が、春になって消えたと言うけれど・・

決して消えてなくなったわけではありません。

水になり、地面に吸われ地下水となり、川の水となり、海に注ぎ、再び雨や雪となって戻ってきます。

私たちの心、魂も同じです。肉体は脱いでも、黄泉の国(神々の国、先祖の国)に戻り、

姿、形を変えて再び戻ってきます。