確実な真理
私の力説したいのは、われわれのこの地上の「生」は、遙遠極まりなき過去から、無窮なる未来にむかって展開する無限なる宇宙生命の一瞬的な閃光に過ぎないわけであるが、それにも拘わらずわれわれの人知は、自らの「生」の来処についても、はた又死して後ゆくべき世界についても、何らこれを対象的には把握しえないのであって、わずかに全我を捧げてその秘奥の一端に触れうるのみだといってよい。
かくしてわれわれ人間にとって、現実的な確実性をもつのは、わずかにこの限られた地上に、九十年の「生」でしかないわけであり、しかもそれは私の信ずるところによれば、二度と繰り返し得ないものといわねばならぬ。さればわれわれ人間にとって確実な真理は、この地上的「生」が、二度と再び繰り返し得ないことを確認しつつ、その最善の努力を怠らぬということであろう。
即ちわれわれ人間に許されていることは、この八、九十年にすぎない地上の「生」を、いかに意義あるように、充実して生きるかということであって、これのみはいかなる人間にとっても異議のない、この現実界における至上の真理といってよいであろう。