今回はIn Deepさんの2025年11月1日の記事を紹介します。
ヒンデンブルグ・オーメンと銀行破綻と第三次世界大戦の影が見える中で2025年もあと2カ月 – In Deep
ヒンデンブルグ・オーメン
11月に入り、2025年もあと 2カ月となっています。
いろいろあったような気もするし、いろいろとありすぎて、全体的に忘れてしまったような気もするし、よくはわかりません。
ところで、アメリカの株式市場で、
「ヒンデンブルグ・オーメンが発動した」
ということを知りました。
以前から、このヒンデンブルグ・オーメンという物々しい名称がわりと気に入っていて、久しぶりに聞きましたけれど、これは簡単に言えば、「株式市場の暴落を示す指標」です。
一度発生しただけだと、信頼確率は 20%程度と低いですが、「複数回」発生すると、そのたびに信頼度が上がります。
今回は、10月17日と 10月30日のすでに 2回、ヒンデンブルグ・オーメンが発動していて、確率的に少し上がったかもしれません。
とはいえ、これが一体どんなものなのか分かりづらいですので、最近のエコノミックタイムズ紙の報道から抜粋してみます。
記事「昨日発動したヒンデンブルグ・オーメンとは何なのか? 投資家の方はぜひ注目してほしい」より
株式市場暴落シグナル:まれでしばしば物議を醸すテクニカル市場シグナルであるヒンデンブルグ・オーメンが 10月30日に発生し、トレーダーやアナリストの間では現在の市場上昇の強さに対する懸念が高まっていると、ストック・マーケット・ニュースの X への投稿で述べられている。
ストック・マーケット・ニュースのデータによると、約 476銘柄が 52週間の最高値を更新した一方で、170銘柄が同時に最安値を更新し、両端が極端な値動きとなったニューヨーク市場上場銘柄全体の約 2.8%に相当する。このような市場幅の分裂は、市場の上昇トレンドを少数の大型銘柄が牽引しており、より広範な銘柄が追いつくのに苦労していることを示唆しているとストック・マーケット・ニュースは報告している。
ヒンデンブルグ・オーメンの背後にある主要な市場指標
今回のこのシグナルの出現が重要なのは、それがヒンデンブルグ・オーメンの確認に必要な 3つの条件をすべて満たしているからだ。
ストック・マーケット・ニュースのレポートによると、指数の高水準と市場の幅の縮小の乖離は、表面下の内部的な弱性を示唆している。S&P500は表面的には健全に見えるかもしれないが、その根底にある参加状況は別の物語を物語っている。
ヒンデンブルグ・オーメンはどれほど信頼できるのか
歴史的に、ヒンデンブルグ・オーメンが単独で発動しただけでは、言頼できる暴落予測指標にはならない。データによると、単独のシグナルが大幅な下落を正しく予測できる確率はわずか 20~ 25%程度だ。
しかし、30日以内に複数のシグナルが発生すると、言頼性は大幅に向上する。ストック・マーケット・ニュースによると、いわゆる「83%の精度」が注目を集める中で、このニュアンスは見落とされがちだ。
過去のシグナルに続く市場データでは、S&P 500は 1週間後に平均 0.38%、3週間後に 4.09%、6ヶ月後に 6.28%の下落を示している。
最も顕著な弱気は、オーメン発動後すぐにではなく、3週間から 6ヶ月の間に現れる傾向がある。
Economic Times 2025/11/01
というようなものらしいですが、しかし、最近はヒンデンブルグ・オーメンの精度は下がり続けているようで、市場の仕組みが以前とは異なるためなのでしょうけれど、暴落どころか、上昇したことも多々あるそうです。
そういう意味では、一種の小さな指標としてとらえるのが妥当なんでしょうが、しかし、この「ヒンデンブルグ・オーメン」という大仰な名称は聞くに値するものです。
この名前は、1937年に、米ニュージャージー州で発生した飛行船「ヒンデンブルグ号」の爆発事故から名付けられています。36人が亡くなった事故で、この事故と共に、飛行船のブームは終焉を迎えます。
それにしても、このヒンデンブルグ号の項目を見ますと、飛行船旅行がいかに当時「高価で豪華な旅」だったかを伺い知ることができます。
以下の部分だけでそれがわかります。
乗客数 36人
乗員数 61人
お客さんが 36人のところを、乗員が 61人もいる。変な例えですが、乗員 2人が 1人に対応するというような数の分布です。
今の旅客機などの旅だと、お客さんが数百人のところを、乗員何名かで対応するわけですから(お客さん 50人に 乗員 1人といった感じでしょうか)、そりゃ当時の飛行船の乗船代金は高かったでしょうね。調べてみますと、アメリカとドイツ間の飛行で、ヒンデンブルグ号の場合、今の価値だと 7000ドル (100万円以上)かかっていたようです。これは片道ですから、往復だと大変なものです。
ちなみに、私が初めてこのヒンデンブルグ号の爆発事故を知ったのは、1969年に発売されたレッド・ツェッペリンという英国のバンドのファーストアルバムのジャケットによってでした。
Led Zeppelin – Led Zeppelin (1969年)
もちろん買ったのは、発売されてから何年も後で(1969年は私が小学生になった頃)、買ったのは中学1年くらいのときだったですかね。はじめてまともに聴いたロックのアルバムでした。
えーと、なんの話でしたか…。
ああ、ヒンデンブルグ「オーメン」のほうの話でした。
すでに短期間で 2回発動していますが、これが今後も発生すると、やや 11月くらいからの相場の混乱の可能性もあるのかもしれません。
あと、アメリカの銀行、おそらくは複数の銀行が、「深刻な資金不足」に見舞われている可能性が出ていて、このあたりも、波乱の要素となりそうです。
以下に、現状の説明などがあります。
・米国の銀行のどこか(あるいは複数)が資金不足に直面している模様。リバースレポ取引が8兆円規模の急増 BDW 2025年11月1日
日本の場合、今は株式市場は狂乱の極みで、米ゼロヘッジなどは、日経平均のチャートを示して、
「日経平均株価はワイマール共和政を目指している」と X に書いていました。
意味はよくわかりませんが。
zerohedge
おそらく、ワイマール共和政(ドイツのこと)で起きたハイパーインフレのチャートを絡めて揶揄しているのかもしれません。
1918年から2023年までのドイツのハイパーインフレ
最終的に、1923年11月には、1米ドルは 4兆2105億マルクに達していたそうです。
しかし、このハイパーインフレの時期にドイツの株式市場は「崩壊しなかった」のですね。日々貨幣の価値が下がる中、むしろ、株式市場への投資が過熱したそうです。
Silver1234 の投稿より
ワイマール共和国のハイパーインフレーション期(主に1922~1923年)に、ドイツ株式市場は崩壊しなかった。実際、名目株価はマルクが賠償金支払いと政府支出の資金調達のためにますます大量に印刷された結果、株価はばかげた水準まで急騰した。
これにより、投資家たちは通貨の崩壊に対するヘッジとして、毎日価値を失っていた現金を株式に投じ、投機熱が巻き起こった。しかし、この「狂気じみた」上昇は実質的にはほとんど幻想的なものであり、広範な経済は甚大な打撃を受けた。
日本もこのあたりにチャレンジしていくのですかね。
上に「株価の上昇は実質的にはほとんど幻想的なもの」という記述がありますが、これは現在もあまり変わりなく、以下のような状況となっています。
・AIバブルは2001年に弾けたドットコムバブルの17倍。それが崩壊の瀬戸際にあるとしたら…
In Deep 2025年10月7日
いずれにしても、仮にいつか市場が崩壊のようなことが起きた場合、その打撃は過去最大となる可能性もありますので、もちろん、それは何年も後かもしれないですが、投資されている方などはご留意下さいね。
戦争の時代
最近のメルマガで、「核戦争のリスクが上昇している」ことについて書いた部分がありましたが、つまり、トランプ大統領がアメリカの核実験の再開を指示したり(21世紀になって核実験を行った国は北朝鮮以外ないのに)、ロシアは、終末核兵器とも呼ばれるポセイドンの試験に成功しています。
このポセイドンの威力については、過去記事でも取り上げています。
そして、メルマガでは、アメリカで「核使用の判断を AI に任せようとする動きが出ている」ことにもふれまして、リスクが非常に高まっている気配が漂っています。 AI がエラーを連発しやすいことは、今までもずいぶんと書きましたが、核兵器のミスは、ちょっと問題ですからね。特にロシアとアメリカには自動報復核システム (相互確証破壊)がありますし、取り返しがつかないことにもなりかねない。
そうならないためには、まず「戦争を拡大させない」ことが重要ですが、これもどうも最近は危うい。
まあ、そんなわけで、今回は投機家であるダグ・ケイシーさんの「戦争国家へようこそ」という記事の最終章をご紹介して締めさせていただきます。
大変に長い記事で、国家と戦争や、今後の戦争の形態などを述べているものですが、その締めの章です。ケイシーさんは若い頃、ベトナム戦争に兵士として志願していた愛国派だったことも知りました。
どこの国にしても、2026年からはさらに物騒な時代になる可能性が高くなっています。ある程度、それに備えた心構えは必要かと思います。
ここからです。
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戦争国家へようこそ
Welcome to the Warfare State
Doug Casey
今後どうなるのか
読者の皆さんは、上記の点のいくつかに同意されるか、少なくとも私の議論に心を開いて耳を傾けていただけると確信しているが、しかし、ほとんどのアメリカ人はそうではないのではないかと思う。彼らは軍隊を国の宝、あるいは象徴とさえみなしている。
ある意味、この先祖返り的な執着は理解できる。子どもの頃はウェストポイント(陸軍士官学校のこと)に行きたいと思っていたが、4年間の陸軍士官学校に通ったことでその誘惑から解放された。
大学時代、ベトナム戦争中に海兵隊 PLC プログラムに志願した(そう、私は学習が遅かった)。その後、徴兵抽選で 366人中 365人目に当選したが、わずか 1年前に右足を 17箇所も骨折していたため、医学的な理由で 1年兵として不合格となった。
その時点で、私は「本当にベトナムに行きたいのなら、政府が旅費を払う必要があるのか?」というメッセージを宇宙が私に送ろうとしているのだと考えた。
アメリカ国民が軍隊に抱く温かい感情は、大部分が見当違いだ。私は兵士を愛する者としてそう言う。
輝かしい歴史を持つとはいえ、テクノロジーの進化によって、アメリカ軍はもはやほとんど有用な役割を果たしていない。
残っていた団結心も、 環境・社会・人権侵害(DEI)、LGBT、そして反白人主義によって蝕まれつつある。兵士の第一の忠誠心は当然ながら互いへの忠誠心だが、それはウォキズム (目覚めた / Woke から派生した言葉)によって弱められた。
第二の忠誠心は雇い主への忠誠心だが、彼らは雇い主への信頼をますます失っている。第三の忠誠心は、彼らが守り仕えるはずの相手への忠誠心だが、彼らとの共通点はますます少なくなっている。
これらの問題と私が挙げた他の問題を合わせると、西側諸国の軍隊がますます信頼性と実力を失いつつあるのも不思議ではない。これは良くない。まさにその時に、西側諸国の政府はロシア、中国、そして小国との戦争を挑発しているのだから。
まとめるとこうなる。
アメリカの外交政策は、この国を多くの国々と衝突させる方向に導いている。米軍は過去の戦争には耐えられる立場にあったが、次の戦争には耐えられない。
なぜなら、アメリカが増強している兵器は、いわば恐竜のようなものだからだ。そして、恐竜のように、その維持には信じられないほどの費用がかかる。次の景気後退期には政府が破産する可能性が高く、その維持はほぼ不可能になるだろう。
次の紛争が起これば、アメリカ国内にも甚大な被害をもたらす可能性が高い。第三次世界大戦から身を守るのは困難だろう。南半球(に移住すること)はますます有利に見えてくる。
もちろん、第一の防衛線は、常識的なサバイバル術だ。やり方はご存知だろう。金や銀を買い、1年分の食料、燃料を備えたサバイバルリトリートを手に入れよう。スキルと知識を磨き続けよう。
自営を目指そう。信頼できる、志を同じくする仲間と交流しよう。当局には目立たないように。そして、付け加えるとすれば、楽しむこと。物事をあまり深刻に考えすぎないことだ。私たちは人間の限界と向き合っているのだから。
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ここまでです。
私も、危機になればなるほど、「楽しむこと」の重要性は増してくると思っています。もっといえば、笑いですね。
次の危機は乗り越えられない場合も多いとは思いますが、それはそれで仕方ないのですから、その部分で深刻になっても仕方ありません。
