この道へ その4 「高度情報科学セミナー」

大阪の駅から徒歩15分くらいにあるビルに
全国から毎週土日に多くの人々が集ってきていた。
「マルチメディアインフォメーションセミナー」と題うった
セミナーを受講。
それまでの自分の育った環境やめざした実業家としての
考え方に大きな影響を与える内容のセミナーだった。
土木技術者として、そして金属建築材料の製造販売者として
携わった業務や得た知識や人脈とは異なったものを体験する。
大きな視点が欠けていて、利益優先の小さな自分が
いかに無知であるか。


日本の現状、世界の動き、世界権力の大きな力、
日本民族の意義、この国のめざすべき方向など
思いもよらぬ数々の話に圧倒された。
そしてそのために世の中がどのように変化していくのか、
また時代の価値観が金や物から何に移っていくのか、
その過程では道具として何が生かされていくのか、
たくさんの学びが平成5年から始まった。
多くの人々を大阪へご案内させていただいた。
海外研修旅行ではボリビアに20数名の方と共にでかけ
ボリビアの現状や精神世界の学び(知花敏彦さん)や
沖縄で自然農業を指導する飯島秀行さんとの出逢いを得た。
まだウインドウズ95以前のPCや富士通のFMVシリーズで
ウインドウズ3.1を使って仲間との交信が始まる。
情報通信の第一歩は真っ黒な画面に浮かび上がる
白い文字の通信を参加者の方々がつかみに行くという
スタイルだった。
PCを30台ほど無償で、縁ある方に配布させていただいて、
ネットワークに慣れること、時代のさきがけとなっていただくことを
熱望した。
ウインドウズ95は劇的に世界を変化させていく。
そして携帯電話での声やメール通信もまさに大きな通信の
役割を担っていくのである。
だけれども道具や技術が進歩し、通信手段を得たのだが
何をやっていいのかがわからなくなってきていた。
ようするに情報の内容がないようなのだ。(笑)
そのことは多くの識者も実感として、現在もなお
持っている疑問である。
物を販売し、通話料金を無料化し、人々の意見があらゆるところを
飛び交う。日記的記述(ブログ)が大ヒットした。
人気のスポットがわかりスポーツ、映画、ニュースを新聞やテレビより
早く詳しく知ることができる。
行動を起こす前にはまずインターネットで情報収集。
さらには企業や事業体での内部告発。
真実の公開があちらこちらのサイトで容易になされている。
たしかに便利になった。
人生がもの凄く短時間に多くの体験をくれるようになった。
世の中の大変化を促す道具は通信機器。
それはとても早いスピードで進化している。
2011年テレビ放送のデジタル化や家庭や企業への通信インフラ(線)の
ラストワンマイル(引き込み)も電気コンセントの参加で
最終となり、さらには「高度情報時代」の進化が、衛星による
受発信を活発化させ、世界はひとつになることだろう。
中国での貧富の格差は、インターネットで暴露され
暴動を加速し、国家の崩壊さえ招くかもしれないとうわさされている。
さてそれでいったいどうしたのだろうか。
私たちは便利快適な世界をこれ以上享受し、もっともっとで
進むのだろうか。
「高度情報科学セミナー」によって目が醒め、
時代の最先端を走っているという充実感で満たされていた心に、
進んでいる方向への疑問が少し芽生えてきていた。
それでも同志で作る新しい会社、株式会社テレコムあいちは共同で
実業するインターネット電話の事業体として発足した。
それまで共に歩いてきた同志で活動する、はじめての
事業体だった。
この会社を基盤に世の中に有効な情報を供することができる「放送局」と
なることが最終の目標とされた。
平成11年6月、やがては無料となるであろう電話網の事業と
知りながら、あえて船出したのだった。
つづく・・・