随想 伊路波村から114〜嬉しいなあ

どこへいっても 嫌われて、
共同で何をしても 同僚に疎まれる人。
そんな人がいる。

でも 病弱だが まじめで 陰 ひなたがない働きぶり。
一人でコツコツ 続けることが好き。

時々 周りの人が、その方が言うことを聴かないことに
爆発して、直訴に見える。
直訴に来て下さい、といってあったから。

今日も 絶対にやってはいけないことで、
当たり前のことを、やらなくてもいいと言い放ったことに
憤慨して、上司の方が直訴にみえた。

上司の方さえ 手を焼いているよう。
ひととおりのお話をうかがい、本人と話あうことを
約束した。  そしてつけたした—。

「世界人類が幸福でありますようにと、提唱した先達がみえました。
その方のおっしゃることは まったく素晴らしくて、何の否定も
出来ません。 でもただひとつ 企業の経営について
おっしゃてることだけは 疑問です。
企業において、企業の向かう方向に逆行するような人は、
ただちにやめさせなければならない。 とおっしゃってるのです。」

かの上司は 我が意をえたりと おおきくうなずく。
だが、
「とても立派な方なのですが このことだけは
わからない。すくなくとも それでも
自分は しません。」

そういって 直訴者Hさんとは話が終わった。
お昼休み、パソコンの前にいる私に、
その同僚の女性社員さんが近づいた。
めったに 話しかけられたことがないのに。

「あの—。 今朝 Hさんからお話があったと思いますが、
あのこともういいんです。 もう話してもらわなくても結構です。
いいとこが一杯だから。悪いとこもあるけど、
いいとこ一杯すぎて、 悪いこともたいしたことなんだけど、
消えちゃいます。」

思わず 座りながら 彼女の腕をつかみたくなった。
嬉しかった—。

「Hさんには話しをしてもらったことにしておいてください。」
と彼女。

「魂でね 話した!」 と私。

ほんとに安心したのは 彼女だったのかも知れない。

お昼休み 嬉しいできごと。
こんなことが 生かされる楽しみです。