随想 伊路波村から62~あなたは 私を忘れない

Kさんからのおはがきにこの言葉がありました。
お彼岸の日。

「小さく醜い 吾なれど
私があなたを 忘れても
あなたは 私を忘れない
・・・・・・・・・・・・・・・・・」

実の父と同じ家で眠った経験のない私は
離婚することもなく一人で四人の子供を育てた
母親の大きなそして懸命な心に育てられました。

そんな母親も父親も今はなく、ただ父との高校生の頃の
わずかな外部での共同作業の思い出と母のやさしい心の印象しか
残っていません。

幼い頃は友達の環境を見るにつけ、どうして
こんな家に生まれてきたんだろうと、つらかったことばかり
覚えています。

33年前63歳で逝った母、
その数年後に逝った父でした。
片親の思い出のみが強い私に転機が訪れたのが
25年前でした。

この世にあるうちは決して仲がよいといえなかった二人。
イメージの中でその二人が雲の上に乗って
仲良く並んで笑顔でいました。

そして私に手を振りながら、二人の雲は天上遠く去っていきました。
その時に思いました。

自分の人生できつい役をしてくださった父。

怒ることを見たことがないやさしい母。

その二人はすべて自分のためにいてくださったことを
心にしみて思ったのです。
長い長い間の 心のしこりがポロリととれた瞬間でした。

両親ありて吾がある。
この当たり前のご恩を忘れがちなのが 子供です。

でも子供が親のことを忘れていても 親は決して子供のことを
忘れはしない。

人の親となってやっとそのことがわかりました。

「私が あなたを 忘れても
あなたは 私を 忘れない」

すべての人は すでに赦されてここにある。

ご恩の中にすべての人は 生かされてあります。

感謝でいっぱいになりました。