朝霧高原のログハウスに二日間いた。
その間、雨がほとんど降っていた。
富士山からの風が雨を斜めにする。
雨の音が心地よいことがわかる。
風、雨、鳥の声しかといっていいほどの静寂。
自然じゃない音は、石油のボイラー音と
時を知らせる村の拡声器からの音楽のみ。
ささやくような声が、みんな聞こえる。
ふだんの声がどんなに大きいのかわかる。
きっと会話の声が小さいだけで、
おだやかな生活が得られるのかも知れない。
自宅はと言えば、
都市高速道の自動車の走行音が
一日中聞こえる。
夏はクーラーを入れないので、少し開けた窓からの音は物凄い。
けれど慣れってもっと凄くて、
騒音が気にならなくなってしまう。
ログハウスでの静寂はほんとに嬉しい。
普段から静かなところで暮らす方にとっては、
信じられないだろうけれど。
静寂はご馳走だとしみじみ思う。
音にもエネルギーがあるのだろうから、
ずっと無意識に聞いている音から
どんな影響を受けているのだろう。
そして無音からは何を受けるのだろう。