寺田 一清 社団法人実践人の家常務理事
昭和四十五年、多年入院中の奥様のご逝去に引き続き、その翌々年、ご長男の急逝という予期せぬ事態が勃発しました。先生は齢七十七歳でした。そして「逝きしわが子への身の償いとして」単身、倒壊寸前の廃屋同然の貧しい一件屋に赦されて入居せられるという次第でした。これが先生の生涯における、最大最深の悲痛事ではなかったかと思われます。
そして玄米食とみそ汁を基本とした独居自炊の生活が始まりました。果物屋でもらってきた木星リンゴ箱を食堂にし、先生手づくりの一汁一菜の簡素な食事を共にお相伴したことがありましたが、まことに”隠者の夕暮れ”を感じ、私の方がかえって憂愁に閉ざされがちでした。
“致知出版社 一日一話 読めば心が熱くなる・・ 第二弾 20 「わが身に降りかかることはすべてこれ天意」” の続きを読む