「ファチマの第三の秘密」奥之院通信 R3 7/13

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 「今世紀後半において、大きな戦乱が起こるだろう。火炎が天より下り、大洋の水は煮えたぎって、蒸気と化し、ありとあらゆるものが破壊されるだろう。その艱難によって無数の人々が死に絶え、生き延びた人たちもまた、死者をねたむほどの苦難に襲われるだろう。想像を絶することが世界の各地で起こり、不安と悲しみ、そして恐るべき虐殺が、あらゆる国に広がるだろう。至る所で死の勝利の雄叫びを上げ、荒れ狂ったものが凱歌を上げよう」

 これは「ファチマ第三の秘密」と言われているもので、密かに話題になっている、かなり特異な終末予言である。いつの時代もその世紀の終わりに近づくと、様々の終末予言、黙示的予言が続出するものだが、戦乱と大虐殺と核の恐怖に彩られた20世紀において、この人類の終末を告げる予言は、そのピークに達したかのようであった。真面目に耳を傾けるべきもの、いかがわしさを感じさせるものと、その内容は玉石混淆である。

 その中で、先に引用した「ファチマ第三の秘密」は、かなり特異な存在の終末予言である。
 まず、この予言は”空から降りてきた聖母マリア”から伝えられたものだという。1917年、第一次世界大戦のまっただ中、ポルトガルの寒村ファチマで、羊を追っていた村の三人の少年少女の前に、聖母マリアが降りて来た。そして人の世の未来を教え伝えたのである。聖母マリアの降臨は、彼女が子供たちに約束した通り、前後6回に及んだ。この奇跡の評判が次第に広がって、多くの人々が、マリアの出現の場所に集まるようになった。「光に包まれて輝く女性」が天空から降り立つ現象を皆が目撃したのである。

 この一大事件については、『ファチマの詳説』という膨大な証言記録が出版されているし、ローマ法王が、ファチマで起きた一連の出来事を、「聖母マリアによる真実の奇跡」と認めている。村の三人の少年少女が、聖母マリアと出会った場所は、今では立派に整備され、ローマカトリック教会の聖地となっている。

 聖母マリアが伝えたのは、三つの秘密の預言であった。
 第一の秘密は、その当時戦われていた第一次世界大戦は、まもなく、世界が破滅しないうちに終わる、と告知したものだった。これは、この子供たちがすぐ村の大人たちに伝え、ファチマの人々の関心を集めるきっかけにもなった預言である。

 第二の秘密は、第一次世界大戦が終わっても、その後、前より更に恐ろしい二度目の大戦が起こるということを、その詳しい内容と共に告げるものだった。奥の院は既に次の大戦を用意していたが、一般には想像もしないことであった。
 つまり、「この戦い(第一次世界大戦)は終わりますが、主(しゅ)に背く人々によって、今の法王の次の法王の時代に、もう一つ、更にひどい大戦が起こります。地も海も空も、血と火と煙で沸き返り、多くの民族が苦しむでしょう。ルチア(三人の子供の一人)、あなたが未知の光にてらされた一夜を見たら、その時が、その始まりだと知りなさい。人類に降りかかる、かつてない空からの、火の責め苦の始まりだ、ということを知りなさい」と。

 第二次世界大戦が始まったのは1939年だが、このファチマ第2の秘密が、ローマ教会から公表されたのは大戦のさなか1942年のことであった。これは公表を憚るような内容を含んでいたから、というようなことではなく、その年が”ファチマの奇跡”25周年だったからのようだった。
 ところが、「ファチマの三つ目の秘密」は法王パウロ六世を驚愕させた。
 これはルチアが、聖母マリアのお言葉により1960年までは公表しないように、と封印して残した第三の手記であった。この第三の秘密の記録を初めて読んだのは、ローマ法王ピオ12世(在位1939年3月~1958年10月)で、1950年代後半のことだといわれる。

 ピオ12世は聖地ファチマを訪れるに当たって、的中した第二の秘密(第二次世界大戦)のことを思い起こし、この手記に興味を引かれた。ところが、封印を切って目を通した途端、顔色を変え、改めて封をして、法王専用の特別保管庫に再びしまい込んだという。そしてその内容については、一言も語らず、1958年までの在位中に、遂にその秘密の公表はなされなかった。

 次にこの記録を読んだのは、パウロ六世(1963年~1978年)だった。
 このローマ法王が「ファチマの三つの秘密」の封印を切って読み込んだ時の異様な状況が、側近たちの口からバチカンの外部に漏れ出し、世界に衝撃を与えたのだった。
 それは、次のように伝えられている。
 パウロ六世は穏やかな表情で文書を読み始めたのであるが、そのうち顔色が変わってきた。みるみる真っ青になった顔に手を当て、息を詰め、失神状態から転げ落ちそうになった。側近たちがこれに気づき、驚いて慌てて助け起こす。侍医団が駆けつけて手当てをし、大事に至らずに、まもなく回復したが、その後、法王は「第三の秘密」を掌で覆い隠しながら、厳しい表情で言ったという。「これは決して公表すべきではない。私が墓の中まで持って行かねばならぬ」と。
 しかし、この法王の度を超した驚愕の故に、「ファチマの第三の秘密」の存在は、却って広く、密かに世界に知られるようになった。
(長くなるので、この続きは明日の通信で書くことにする。)