平成14年10月14日、日の出の頃、御縁ある方々と共に宝達山の
ふもとにあるモーセの墓前に集っていた。高坂和導さんの著書「竹内
文書」に記述のあるモーセ日本にて死亡の記述は真実にしても、まっ
たく荒唐無稽と思われた。
だが何故か最初に訪れた5年程前からもう5度目の来訪となっていた。
このモーセの墓には実はいつもの感覚は何も感じられなかった。しか
し、最初の訪問で撮った写真には、確かにしっかりとした紫色の意識
体が写っている。それが何かは確たる理解もできないままに5年が経
った。
実は今回は、あの謎の人物、S氏からの集いの要請だった。「
モーセの墓前にて、神おろしと世界平和の祈願をいたします。都合の
良い日を選んでFAXしてください。」これだけだった。そして、選
ばれた日は、14年10月14日。先回訪れたのが、13年9月11
日。そう、あのアメリカのテロ事件の日だった。そして今回14日の
朝刊にて、13日のバリ島テロ事件を知る。偶然はない。
数日前から今回の祈りから何かが加速度的に進み、私たちを取り巻く
世界が大きく変化する予感を憶えていた。そして小さな力でも力を尽
くし、精神を尽くし、今続けていることをやり遂げれば、それが素晴
らしい世の中作りの礎となることも確信できていた。
「この地にモーセの霊意識はありません。只今より霊意識を降ろし、
今後予想されるであろう世界の大混乱が無難でありますように祈願
いたします。縁ある人々がそれぞれの役目に応じ、力を発揮されま
すことを祈ります。」
このようなことばで始まった儀式は、M女史の祝詞につながり始まっ
た。参加者は、墓標の横に整列し、無言で儀式を見守った。S氏の
言葉は次々と続く。霊意識は言葉そのもののようだった。世界への平
和の祈り言葉の最中、目から幾すじもの涙がほほをつたっていた。
そして一人ひとりが墓前にて、霊意識への感謝の祈りをささげた。儀
式は終了した。おそらく何もわからない普通の人々が見たとしたら、
さぞかし奇異な光景にうつったことだろう。しかし、参加者はそれぞ
れ敬虔な面持ちで儀式を見守り、終了した。
この墓を町に提唱し、町の資金でモーセパークとして町おこしをした
のが、越野宏氏。長くこの墓と公園を管理し、「モーセの墓守」とい
われる方だ。いつも笑みを絶やさない子どものような心を持った方。
平家の先祖をもつ越野氏は、おそらく平家の流れだろう。親からの言
い伝えを守り、今もモーセと共にある。
モーセの十戒は厳しいものだ。問われればまったくできていないこと
ばかり。しかし人として生まれ人生を人間らしく生きる智恵が十戒に
は詰まっている。そのような智恵を思い出し、「世界人類が平和であ
りますように」という祈りの意識を一人でも多くの方がもつことで、
混沌とした世が新世界に導かれるのかもしれない。
晴れ晴れとした気持ちが、参加者の顔に表れていた。日はすでに木漏
れ日となって、墓にやさしく注がれていた。
ありがとうございます。
*この日の翌日、高坂和導さんの訃報に接した。