友からの短い言葉 R3 10/1

「この書籍を読んでみて

良かったら「気軽に」

座ってみてください」

短いお言葉とともに大きな黒くて
丸い「座布」が突然に送られてきました。

20年を超えるお付き合いの友人
金沢のYさんからでした。

それですぐにこの書籍を手にして
読み始めました。

山折哲雄さん90歳によるもの。
「早朝座禅ー凛とした生活のすすめ」

凛とした生活には程遠い自分ですが、
離れている友からのあたたかいお申し出に
まず読んでからお返事お礼を申し上げようと
読み始めたのでした。

人生の先達のお言葉そしてその内容に
ときどき笑い声をあげながら読み進み、
早速その翌日の早朝から座禅してみました。

長い間中断していた座るということ。

とても新鮮に感じ、 再開できたきっかけの
友にたいして改めて感謝が溢れます。

座禅とともに山折さんが進めていたのが
早朝の散歩。

ポムちゃんがいなくなってから外を
歩くことが極端に少なくなっていたので、
これも素的なきっかけをいただいています。

それで一日おきに西方面から始めて
時計回りに北、東、南とまわってみようと
これもすぐに始めました。

天からの声のように胸に響いて。

歩いてみますと、今まで長らく見ていない
街の変化がとても新鮮です。

昔通った場所、変貌した住宅地、おびただしい
飲食店のお知らせなどなど今様です。
そのお店の中でほんとうに20年ほど前に
よく通った「とんしゃぶ」のお店を見つけました。
それは地下一階にあります。

こんな時期でもまだ営業していてお店のお知らせが派手。
「営業は5時から8時までです、
お食事だけでも結構です」

なんだかへんてこなご案内、お食事だけでもってことは
きっとお酒が出る!!と言外のお知らせに直感。
飲みすけです。

さっそく家族でその晩にお出かけしました。

結局おそらくその場所でしゃぶしゃぶのお店として
30年は続いているであろうおいしいお店は
経営者が代わっていて、店内も昔のイメージと
まったく違って洋風の個室マスタイプです。

番長が売りのヤンキーな店員さん。
案内された場所に家族三人で座ります。
店員さんの言葉が少なく、どうしたらいいかは説明してある
メニューをよく読むしかありません。

でも歯切れよく応対されて、やっぱり宴席となった
しゃぶしゃぶの家族の集いは進みます。

ところがお隣のマスのお若いお客様の
声が筒抜けで、大きな甲高い酔っ払いの
お声が聴きたくなくても耳に入ってきます。

なんだか3人様のようで、二人は男性
お一人はお声から女性だと思いますが
確信が持てません。

そのお話に食事をしながら聞き入ってしまいました。

なんだかその中で一番上の立場らしい
男性がしきりに「男女の仲」の話を
続けています。
あんまり興味がなくただの愚痴のよう。
興味がある女性についてのうわさ話。?

ひとしきりその話が進んで突然に
もうお一人の声が低くて感じよく耳に届く
言葉で切り出しました。

「あの、この世界はなんだか幻想のような
気がするんです。」

「ばかか!! この鍋の湯気あるじゃんか。!
これが幻想か~~。!」

上司のような男性の罵倒。

女性も不思議そうな感想。

なおも声の低い哲学的な男性は続けます。
「でも どうしてもそうとしか思えないことが
多くて・・・」

「いいぞいいぞ若い方!・・・」と心の中で応援です。

「だったら証明してみろよ!
なんか証拠があるんか~~。
証明できんかったらなんにもならん。
だいたいお前人間学かなんか大学で
やってきたからそんなこと考えるんだろ~~。
つまらんはつまらん」

言い出しっぺの男性はなんだか手詰まりの感。

そこでおせっかいな心がわき出してきて、
男性を応援したくなりました。

こちらのお食事は終わりに近づいていたので
注文の為のメモの裏にこう書きました。

「この世が幻想だと言う素的なお話でした。
もしよかったら長崎の川棚駅のまえにある
あんでるせんに行ってください。
証明になるかもわかりません。
あんでるせんはネットで検索してください」
と書きました。

帰宅する直前に失礼ながらお隣のマスの
暖簾をあげて、ご挨拶しました。

「お隣のセキなので素的なお話が聞こえてしまいました。
もしよかったら長崎のあんでるせんに行ってください。
今のお話の証明になるかもわかりません」

と申し上げて、メモをおそらく言挙げていたであろう
と思われるお声の低い男性にお渡ししました。

その男性のお顔が突然に輝いて、罵倒していた男性と
お隣の女性はポカ~~ンとします。

それで失礼をお詫びしてその場を辞去しました。

結局「とんしゃぶ」は変化していて、昔の
お味は望めませんでしたが不思議な必然の
お出会いにとても心が喜んでいます。

友の暖かいお心書きとプレゼント。
そしてご本読んでからの行動の変化が
散歩の機会をもたらしました。

その散歩から若者たちの真摯な会話に
出会い、この国は大丈夫との喜びが
溢れました。

友のひとつの心がこんなに多くの学びをもたらします。
動くことの大切さは今への糧となっています。

ありがとうございます。