赤峰 勝人さん ~ニンジンから宇宙へ~

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平成十年七月、赤峰勝人さんに来名いただいた。商工会議所の
講演であった。赤峰さんは、無農薬無化学肥料野菜づくりの実践者。
「ニンジンから宇宙へ」は赤峰さんのご著書である。その題で講演し
ていただいた。


講演開始直前に赤峰さんの三男の方が農作業で2ヶ月前に亡くなら
れたことを人づてに聞いた。開始前に皆さんで黙とうを捧げることに
決めた。そして黙とう。赤峰さんは感極まって目がまっ赤。お約束とは
いえ、はるばる大分から大変な時期においでいただいたのだった。
翌日、ご一緒に「腸造血説」の故千島博士のお墓詣り。赤峰さんは
何ごとか深く祈られていた。名古屋空港でのお別れ。握った手をい
つまでも話さない熱くやさしいお心に触れたお別れだった。
そして今年平成13年2月。彼の自叙伝『私の道』が届いた。
「はずかしいけど読んで下さい」と添え書き。
ヘラクレスのような丈夫さと勇気。そしてお酒好きで人好きな赤ら顔
の赤峰さん。眼は子供のようにキラキラ。そんな赤峰さんのこれ迄
の人生はおよそ想像のつかない波乱に満ちたものだった。あまりに
も劇的な事故や死別。そして、霊的な体験。最終章、「過去を振り返
って」は息もつかせない。
虫がつかない無農薬無化学肥料野菜。この世に何一つ不要なもの
はない。虫も草もバイ菌も。納得のいくニンジンが完成した日。ニン
ジンがこの世はすべて循環していることを教えてくれた。半日、畑で
泣いていた赤峰さん。10数年かけて完成させた農業を全国の同じ
志の若者たちに教えることが夢である。そのために彼は命を与えら
れたのではないだろうか。
21世紀、次世代に向けて、日本の宝をまたひとり知った感じである。         
                                    『 私の道 』 著:赤峰勝人 刊:なずな出版
                                      ¥1050