故人とのお別れのときが来た。
もう立派な跡継ぎの板金店さんの息子さんが
棺の亡骸に大声を出しておおいかぶさった。
「おとうさーーん!!」
そして二人の小学生、まだ低学年の男の子が、
横たわるおじいちゃんの顔を見ながら、
おいおいと泣きじゃくっている。
おにいちゃんが、大声で、
「おじいちゃん! ありがとう!」って叫ぶ。
おじいちゃんが大好きだったんだね。
幼いお二人が、死と正面から向かい会う様子を
ずっと見ていた。
出棺の時がくるまで。
初めて死と向き合ったのは、ネコの「マミ」が
犬との戦いに敗れて死んだとき。
母と泣きながら、空き地に埋めに行った。
とても悲しかったのに、だれかが犬の「ジュリー」を飼った。
ジュリーは犬特有の病気で死んだ。
末期は凶暴になって、近寄ることもできなかった。
今度は庭に埋めた。
以来、もう動物を飼うのはイヤだとずっと思ってきた。
だから娘が連れてきたうさぎのモナカが死んだときも、
面倒を見なかっただけに悲しみもない。
今、居間に住む真っ黒なもう一匹のショコラさん(おばあさんうさぎ)も
なるべく世話をしない。
別れがつらいから。
幼い時の死別の体験は、人間とにせよ、
動物とにせよ、何かその後に影響がある。
さてお二人のお孫さんの場合はどうなんだろう。
なんだか素敵な情景だった。
なくなった板金屋さんは、20年ほど前に、
会社が材料販売だけでなく、板金工事を新しく手がけはじめたときに
一番初めに工事の協力をいただいた方。
いつも温厚で、小さな声でお話され、
決して感情を荒立てることはない方だった。
それだけに、息子さんにも最大の尊敬を受け、
二人のお孫さんにも慕われていたのだろう。
ほんとに ありがとうございました。
午前中の葬儀後、帰宅。
着替えて、名古屋市緑区にオープンする「みどりの湯」の
体験入浴に出向く。
ストーンヒーリングの石を提供された、福岡の
関根さんも先の記念式典に出席されたので、おみえになった。
とても素敵な大きな浴場を満喫した。
脱衣場ではオーナー社長の徳永さんに久しぶりにお会いした。
小牧の「楽の湯」に続いて、ここ、そして次は
岡崎にも展開することが決まっている。
ひさしぶりに、自信に溢れた事業者の、力強い言葉に接した。
そして大きな食堂でお茶をいただく。
系列会社の社長さんで、山善ビルのお世話を
していただいてる川路さんに出会う。
雑談の中にでてきた言葉。
「親の仕事を継ぎたくないような息子だったら、
親がダメなんだよ。」
そうだよね。すみませんと心であやまった。(誰に?)
徳永さんと川路さんは、九州出身の同窓生。
お二人の社長さんの息子さんのすべて(4人)が
系列会社に就職しているらしい。
すごい自信から来る言葉だった。
名古屋に戻って関根さんと一杯やった。
石で全国を駆け巡る人だ。
最後に五箇山の雀を、板前さんに、薦められるままに
いただいた。
それの残りをもって、サンコムにいたうえゆきさんに進呈。
家に戻ったら、酔いがまわって、そのまま眠ってしまった。
12時ちかくまで。
眠りから覚めたら、BSで「ミツコ」の一人芝居ドキュメントを
吉行和子さん主演でやっていた。
現在の欧州連合の礎を固めたのが、明治時代チェコに
わたった、一人の女性「ミツコ」の息子さんだったと知った。
たった一人の共同体への考えが、現在のEUとなった。
それが日本ゆかりの人物とは。
職人さんの死。
建設会社と「湯」のユートピアで店頭公開を目指す社長。
争いのない世の中の構想をヨーロッパで花開かせた、
日本女性の息子。
さまざまが駆け巡る、今日の一日。
何をあなたは働きかけるのか。