立浪が泣いていた。
昨夜の広島戦のお立ち台。
「今までで一番嬉しいヒットでした・・・。」
2千4百本を越えるヒットを打ったプロ19年生の
この言葉。名球会入りも決定している。
去年サードを守っていた立浪が、自分から
外野転向を申し入れたことがあった。
体力の衰えから招くエラーの数の多さが
自らの内野からの撤退を決意させたのだろう。
そして今年は開幕からレギュラーの座をつかめなかった。
代打。
ずっとレギュラーだった選手が、新しく代打という役割で
試合にでることはどんなに大変なことだっただろう。
代打になった当初は成績もよくなかった。
でも慣れるにしたがって立浪は代打成績をグングン上げた。
立浪が打席に立つと物凄い歓声があがる。
「皆さんからの歓声が、涙が出るほど嬉しかったです・・・。」
と言って、目を真っ赤に充血させたのだ。
PL学園時代からキャプテンで、このドラゴンズでも
常に中心的存在だった、小さな大選手。
決して派手ではないけれど、そして無口だけれど、
クロウト好みの実のある選手でもある。
登り行く時には感じることのなかった、
人間の暖かさを、打席に立つたび毎に感じさせていただける、
今という下って行く時期。
スポーツ選手は登って下る宿命を逃れることはできない。
いかに下るかは、企業家がいかに引くかに重なる。
そして人間は落ちていく時に感じる
他の人々の情けこそが、腹にズシンと響くもの。
立浪の涙は、どんなに苦しかったのかの
裏返しでもあるのだろうか。
みんなに感動をありがとう。
スポーツっていいです。