随想 伊路波村から~老いを生きる 140417

ある日の朝刊。
長く魚屋さんを営む50代御夫婦のお話。

魚屋さんの近くに大きなスーパーができることになった。
スーパーの営業のかたがスーパー内での出店の勧誘にみえた。

時代がかわりとても魚屋だけではやっていけない。
でも主人は断る。

毎朝市場へ行って、自分の目で確かめた魚を
店頭にならべた自信と体験と誇り。

「やっぱり値段ですよ、消費者はそれだけです。」
営業の方の帰り際のすてぜりふ。

ある日奥さんの前でめずらしく正座したご主人がたずねる。
「今家にいくらある?」
「ここでろばたでもやりたい。このままスーパーに
まけるのはいやだ。」

奥さんは若い頃自分の父親にむかって
「嫁さんにください」と必死だった御主人の姿を思い出し、
思わずにじりよって、御主人の両手を握りしめた。

理想をとるか、実利をとるか。
多くの人が選択をせまられているのだろうか。