目の前のこと

16日京都に車で出向きました。
家内と二人です。

すこし恥ずかしいお話になります。
お許しください。

この日は浄土真宗東本願寺に母のお骨を
納める日です。
母には父と同じ場所に納骨してほしいとの
生前の願いがありました。
そこには娘のお骨もあります。

その遺言を果たす日が10月の16日と決まっていました。
すべての手配を整え朝7時から車で名古屋を出発し、
午前10時10分の受付締め切り時間までに
本願寺の受付へ出向けば、あとは説教やら、
本堂裏の納骨堂への納骨の儀やらすべては
お寺様の方で準備されています。
午前7時に出れば楽々到着の手はずでした。

ところが前夜食事会がありまして、
この頃楽しいとしてしまう深酒をしたらしく、
お支払いもしたかしないか?
どうやって家にたどり着いたのかの記憶もなく、
気が付いたら玄関にうつぶせで倒れていました。

それで何か家内が叫びながらおしりを
たたいて「起きて!起きて!」と言っているのは
覚えていてそれからまた記憶がなく、
朝起きたらベッドに寝ていました。

それでお支払いをしたかどうかとか、
同席の方々に失礼はなかったかどうかなど
確認をさせていただいて、どちらも問題は
なかったようで安堵しました。

ところが何故玄関で倒れたのかがわからずにいましたら
固い黒の革靴の左足が自力で抜けず、靴と格闘しているうちに
眠ってしまったようです。

家内もその靴を脱がすのに相当苦戦して、
旦那さんのテイタラクニおそらく腹を立てて
おしりをたたいて「起きろ!起きろ!」だったんでしょう。

そんなわけで出発の朝から家内の気源があまり
よろしいわけでなかったのです。

それでも順調に出発して、琵琶湖が展望できる大津SAで
琵琶湖を見ながらコーヒブレイクできました。

家内は早く出発しよう間に合わないかもと
心配顔です。

「余裕余裕」といつものプラス思考の自分。
リスクをいつも心配する家内とは真反対の
性向の夫婦が47年間一緒に暮らしました。

何事にもゆったりとマイペースの家内。
約束時間もいつもギリギリか遅れがち。
真反対の旦那さんはきっちりと計画し
約束時刻には遅れない。

ここで事件が起きます。
京都南インターを車のナビは指示します。
ところが幾度も京都を訪れ、南インターから
京都都心への車の込み具合が身に染みているので、
東インターで降ります。

そこでせっかちなのでインター出口で行く道を間違えます。
どんどん山の中へ入っていってナビが何の指示も
しないようになり、家内のリスク管理が頭を
もたげます。

「ほらなにしているの。!間違えたでしょう。
時間に遅れるでしょう。
だから早く出発しようと言ったでしょう。
あんなに行ったのに、せっかちなんだから、もう・・」

日ごろのおっとりとは異なり、フル攻撃です。
昨日の酔っぱらいからの続きで
ここぞとばかり責め続けます。

「黙りなさい。!」
久々に対抗策の怒りが出てきました。

「これはお母さんがくれたこと。
あんたの心配は無用だということを
教えてくれる事件だよ。!
結局は大丈夫と知るから
黙ってなさい。!」

などと言いながらも。どんどん時間がたって
締め切り時刻には行けない可能性が出てきました。

また家内の餌食です。
「ほら遅れるがね。!
だから言ったでしょ。!」

たたみこまれています。

「いい!絶対大丈夫だから。
受付に電話して遅れることを言って、
何時までならいいか教えてもらって。
絶対大丈夫だから。」

家内は日ごろ感情が先走って、電話が苦手なんですが、
しぶしぶ苦手な電話に挑戦します。

「10時30分までにおいでいただければ
大丈夫です。もし送れるようでしたら
またお電話ください。」

電話の向こうからのお返事です。

「ほら大丈夫。絶対着く。!
やらなわからんだろ。!」

すこし得意な旦那さんです。

そしてさらに謝ります。
謝った方がいいんです。
奥さんには特に・・・。

その後ナビはへんな細い道を支持しながらも
ピッタリ本願寺の駐車場の真ん前に誘導します。

「すごっ!!」

10分前。
急いで駐車場からかなり遠い受付に向かいます。

家内はおっとりと歩き、そしてさらに少し腰が弱いので、
受付表を受け取って、旦那さんが先に走ります。

3分前に受付に到着。
「山田將貴です。」と告げます。

受付のお坊さん。
「はいわかりました。
まだ間に合いますので大丈夫です。
ところでお骨は?」

そこで受付票だけをもってお骨を持ってこなかったことに
気付き笑ってしまいます。
お坊さんも笑ってしまっています。

また急いで家内のところに戻り笑いながら
「受付票だけだったので、お骨はと言われてしまった。」

家内も笑ってしまっています。

「何しに来たんだろうね。・・・」(笑)

そんわけで無事に先発の方々の
一陣に加わることができそうになりました。

ところがそこからまた事件が起きました。

「御影堂に急いでお越しください。
皆さんが説法をお聞きですから。」

それでまた遠くに離れた「御影堂」に長い廊下を
歩きます。
あせってしっかり聞いていなかった「御影堂」を
すっかり本堂と取り違えまして、静かに先に
供養中の方たちの後ろに座っていました。

その方たちが終了したので、お仲間と
思っていた早とちりの旦那さんはお坊さんに
話しかけます。

と、何か違う方たちのようで、「それなら今、みなさん御影堂に
みえて待機中です。あ、連絡取りますのでしばらく
ここでお待ちください。」と言って電話連絡。

結局そのまま本堂でイスを出して親鸞さんの御本尊と
向かいながらしばらく待ちました。

その後ご一緒するはずだった35組ほどの方々が
本堂にゾロゾロと入って見えて、納骨の儀が始まりました。

こちらはなにごともなかったかのように涼しい顔で、
最前列にいて、ご焼香も済みました。

このようなわけで1時間半ほどを必要とする
納骨の儀を15分ほどで済ますことができました。

家内に詫びながらも言いました、
「今日は登代子(母)さんがくれた体験。
心配はいらない。すべてうまくいくんだよと言ってます。
それからいらぬ説法は聞かなくても済んだことも
お導きかもね。(笑)」

「あなたが目にするものは、あなたの考えを反映する。」