森信三先生の言葉 8~一生を真に充実して生きる道は・・・

 一生を真に充実して生きる道は、結局「今日」と
いう一日を真に充実して生きる外ないでしょう。
実さい一日が一生の縮図です。
われわれに一日という日が与えられ、そこに
昼夜があるということは、二度と繰り返すことの
ないこの人生という流れの中にあるわたしたちを
憐れんで、神がその縮図を誰にもよくわかる
ように示されつつあるものといえましょう。

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 そこで、では一日を充実して生きるには、
一体どうしたらよいかが問題でしょう。その秘訣と
してわたくしは、その日に為すべきことは、
決してこれを明日に延ばさないことだと思うのです。
そしてそれには、論語にある「行って余力あらば
文を学ぶべし」というのが、一つの良い工夫かと
思うのです。

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 人生のことは、すべてプラスがあれば、必ず
裏にマイナスがあり、表にマイナスが出れば、
裏にプラスがあるというわけです。
実さい神は公平そのもですが、唯われわれ人間が
そうと気づかないために。表面事なきものは
得意になって、自ら失いつつあることに気付かず、
表面不幸なものは、その底に深き真実を
与えられつつあることに気付かないで、いたずらに
嘆き悲しみ果ては自暴自棄にもなるのです。