山善ビルは1987年定礎できました。
以来35年が過ぎました。
建築以来色んな事がありました。
最初に建築中から入居希望だった、
一階の「かこ」さんと5階のコンピューター
ソフトウエア作成の会社さんは変わらず
入居されています。
当初では自動ロックの一階玄関のドアの
向こうに早朝人が寝て居たり、見知らぬ方が
ビルのトイレに入ってみえたり、
また正面の今の山善がある階段から
当時美容院だったお店に泥棒さんが
入ったりと、事件には事欠かずの状況でした。
さて、今朝のできごとです。
最近になって「かこ」さんの前においてある
長椅子に深夜どなたかが座って、お一人で
酒盛りをしてみえることが頻繁に起きました。
何か事が起きますと、何かを知らせていると
いつも思いますので何だろうと思いを巡らし
反省いたします。
あんまり頻繁なので、かこさんは夜長椅子を
店の中へと入れてしまいました。
するとその深夜の訪問者は今度は山善への
上がり階段に腰掛けて一人酒盛りです。
今朝早朝からやはりその方が酒盛りをしていると
かこさんから通報がありました。
今朝はお掃除の日ですから、玄関先や通路を掃除機で
掃除します。
みえました。
階段に腰掛けて、ウイスキーの空ボトルを
二本随えて、携帯中です。
スペイン語?ヒスパニック系のレゲエ頭を
金髪に染められ、胸もあらわな女性です。
今にも泣きそうな会話に、少し心がさみしくなります。
黙って玄関先を竹箒で掃いていますと
お店の中から出てきたかこさんの女性が
「いつも長椅子で寝ていたのはこの人なの。
あんまり何回も来るので、椅子をお店の中へ入れたら
今度はこの階段で飲み始めたの。
いつも空き瓶が散らかっているので、
ちゃんと自分の飲んだ空き瓶をかたずけてってね
と言ったら前にとても怒ったの。」
「・・・」
「だからちゃんとかたずけてどこかへ
いってと言ってください!」と
こちらに怒りが・・・。
女性はこちらの会話を電話しながらも
日本語が分かるか分からないかは知りませんが
きっと聞いていたんだろうと思います。
こちらは「大丈夫です。そのままで」
「でも瓶くらい自分でかたずけてって
言ってください!!」
「大丈夫です。自分がかたずけますので」と
お店の方に告げてそのままかまわずに
街路の掃除を続けていました。
ふと掃除の手を休めて顔を上げますと、
その女性がフラフラとビルから退散されるところ。
思わずお顔を拝見。
階段のところを見ますと、ちゃんと空き瓶
2本はご自分で持ち帰られたようでした。
きっと国のご家族の方にお電話されていたんでしょう。
なつかしい声をいと惜しむように話をされる
感じはきっとお国を離れて過酷なお仕事に
ついている身の上を懸命に語っていて
女性はとても「寂しいんだな」って思いました。
かたずけられたところを見ますと、
きっとこちらの会話が理解でき、日本語が
分かるのだと感じました。
このことが終わってお店の中にご報告に行き
「あの女の人行かれましたよ。
ウイスキーの空き瓶自分でかたずけて
持って行かれました」
「おこったら 怒りが来ますねきっと。
愛なら 愛がかえりますね」
よけいなことをまたしても言ってしまいながら
「人間ってみんな寂しんだ」と身に沁みて感じた
朝でした。