葦生杉の世界 ~京都・美山の古代森~ 010516

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こんなにもおおきくてどっしりとした樹に身近に迫ったのは、生まれて初めてだった。まるで、ひいおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんに出逢ったような気持ちになった。5月13日の慈藹塾『美山杉に出逢う』に参加したぼくは、美山杉(本名:葦生杉【あしょうすぎ】)に対面して言葉を失った。屋久杉は最高樹齢7500年、葦生杉は最高樹齢5013年という数字上の比較はまったく意味をなさなかった。


そこにはただ、太古にゆったりとつながる悠久のときの流れがあるだけだった。偉大
な母と偉大な父がひょっこりと現れたぼくたちをやさしく包んでくれた。いつもは、
飯田さんとこの息子の大貴と悠々あそべるぼくだったが、この日ばかりは、そういうわけにはいかなかった。太古の原生林に完全に心を奪われてしまったのだ。
優良材木として有名な北山杉はこの葦生杉の種分けをして開発されたもの。いわば但馬牛と三田牛の間柄だ。その産みの親である葦生の森は杉のほか、マツ、ヒノキ、サワラなどの針葉樹とブナ、ナラ、クリ、サクラなどの広葉樹が一斉に集う半広半針の森。曲がって歪んでまでしてなお伸びようとする野生の森のプレゼント。茶色に湿った地面はなんだかふかふかしててここちよい。ふと、角と角がぶつかりあって丸くなるとの想いがよぎる。はて、健康ってなんだろうと想う。
ところが、この葦生の森。地球規模で起こっている酸性雨の影響からは逃れられない。5年前までは春になるとふさふさだった熊笹はいまでは春でも枯れている。春のえさがなくなった鹿たちはしかたがないから樹の根元の皮を食べる。すると若木が成長しない。森はどんどん衰退していく。つい最近も熊が嵐山に現れて射殺された。山にはもう、食べ物が残されていないのだ。
熊が切り裂いた爪の跡、水たまりに浮かぶカエルの卵、神鳴りさまが通り抜けてできた天然樹の祠。葦生の森はとても偉大でとても美しい。そう書きながら、ふと窓の外を見ると、道路脇のプラタナスが昼光をうけてふわふわと揺らいでいる。
わが心に葦生の森をつくろうとおもう。
                               記事:山田貴央
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※葦生の森の案内人:小川武さん TEL075-464-8439
                FAX075-464-8449
                携帯090-3708-0653
※美山町大字葦生 :樹齢3千年以上の杉が35本ぐらいあるといいます。京都の山には、100本ぐらいはあるでしょうとのことです。葦生の森は、葦生村の持ち物で105年前から演習林として京都大学に
          貸しているそうです。前の晩から泊まる場合は、山小屋に泊まらせていただいて、1泊1000円(素泊まり)お昼に使う場合(バーベキュウとか・・・)500円だそうです。山を案内していただくのは、心づけでいいよ。とのことでした。