森 信三 運命をひらく 365の金言 13 「トップの姿勢」

トップの姿勢

 たとえていえば、学校に入ったらこの学校が
果たして何段であるということが、もう一分と
かからないうちに分かる。それは生徒の履物の
揃え方です。だらしがないところは駄目です。
これが一番手っとり早い。
それから自転車置き場を見たら、スーッと
みんな同じ方向になっているのはいいとかね。
校庭に雑草やゴミがあるのも駄目ですね。
等々・・・・。
でも再建の一番の根本は、最高の人が
ゴミを拾う事です。

 学校でいえば校長ですよ。
それで誰にもお説教を全然しないで、
黙々としてトップが最下座の仕事をする。
 そうすることが自分の肩書をおとしめるなんて
思っている程度だったら、もう話にならんですよ。
やっぱり信念は一貫しないと駄目です。

 口外でもしたら、チューブに穴を
あけたようなもんですよ。
31歳になるある中学校の体育教師がいる。
その人は、毎日、学校でみんなが一番
やりたがらないトイレ磨きをしているんです。
 それを「生徒にせよ」といわないで、自分が
黙々とやっている。あの若さで偉いですよ。
ひたすら黙々たる実践をしている。
そして彼は便所掃除とはいわないで
「トイレ磨き」といっている。
トイレ磨きは自分を磨くといっている。
生徒の方も、先生のその姿に打たれて、
率先してやるようになった。

 そしてこれは学校の再建よりも会社の
再建に、もっともっと通じるものが
あるんじゃないでしょうか。