まあちゃんの大冒険が終わってその後幾度かは
田舎を訪問します。
その後何年も訪問できない時期が続いたある日のこと。
まあちゃんは29歳になっていて、新しく会社を興したばかり。
会社に兄から電話。
「羽根のおばあちゃんがどうもダメかも」
その翌日すぐに田舎へ車で出かけます。
怖いおばあちゃんは自宅のお部屋で横になっていました。
もうそんなに長くはないことを知りました。
おばあちゃんは自分を見て「まぼか」と短くひとこと。
それから1週間後に息を引き取ります。
なぜか名古屋に戻ることが出来ずにいて、怖いおばあちゃんと
ずっと一緒にいました。
不思議に涙は出ません。
ただどんな間柄であっても父親を生んでくれたことに
代わりはなく、自分の出自に繋がることにただ頭を下げました。
葬儀の日兄に届けてもらった喪服を着て土葬の棺を
山まで担いでいきました。
墓穴に土を入れます。
おばあちゃんの一生はどんなだったんでしょう。
正妻としての存在でなく、それだけに何時も気丈に
生きなければならずそれだけに厳しい言葉で生活を
満たしていたことでしょう。
今も山に眠るおばあちゃん。
ありがとう。
声が聞こえます。
「まぼ はよ行きさーー!!」