約束の人

故政木和三博士が言っていた。
「始めてあった時に、ああこの人と結婚するんだと
感じたら幸せな結婚だよ。
それも女の人が思ったほうがより幸せ。」
このお話を聴いた時、やっぱり約束の人っているかもしれないと
感じたものだった。
今では人生で出会う人みんな約束の人だけど。(笑)
今日10月14日は結婚した日。
31年が過ぎた。
家内に始めて会った日のこと、つぶやいてしまおう。


やっとで入った高校の生活の一年が過ぎ、二年生になった。
クラブは卓球部。
4月、新入生が新しく入部する。
後輩ができる!。ワクワク。
新しい運動服を着て新入生が練習に参加。
ちょっとこちらも恥ずかしい日。
始めて見て「ドキッ!」とした。
変な感覚だった。
その日の下校時。
わりに急な下り坂をバスの駅に向かう。
動物園の地下鉄駅までのバスを降りて、
地下鉄に乗る。
いつものように最後部に立ち、単行本の文学青年。(笑)
少し気になって進行方向に目をやると、左のドアのところに
立って彼女がいる。
その時ほんとに感じたのだ。
「この人と結婚することになる。」
17歳の春。
それからの日々は頭フラフラ。
日曜なんかこないほうがいい。
カチカチの硬派だったから、高校生は異性つきあわない、と
勝手に決めていた。(笑)
でも2年間ずっとしずかに思いつづけた。
結局何も言わずに卒業の日を迎えた。
どちらが決めたわけでもなくその日はバスで帰る気になった。
彼女も同じバスに乗っていた。
地下鉄駅で降りるのかなと思ったが、降りない。
「そのまま30分ほどまだ一緒の車内にいられるーー。」
カチカチの男はこんなに最後になっても声をかけられない。(笑)
彼女より先にバスを降りる時がきた。
車内で近くを通るとき小さく「さよならーー」って
言った気がする。
彼女を乗せたバスを振り返ることもしない硬派男。
かっこいい。!
とまあこんな映画みたいなお話から、学生生活の一年が過ぎた。
20歳の初夏、学園祭の日が運命の日となった。
学園祭の模擬店で店員をやっていた。
そこへ彼女の同級生が顔をだした。
「もしお会いしたら、東京の学校へ行っていると
伝えてください、といわれました。
伝言確かに伝えましたからね。」
どうしようか。
あの硬派が、今や堰を切ったように大勢の異性と
おつきあい。(笑)
でもその夏休み中のある日、ドキドキしながら家の電話を調べて電話した。
帰省中の彼女はいた。
初デイトは、オリエンタル中村の屋上の喫茶店。
アルバイト中でのあいた時間でのことだった。
目にまぶしい水色のワンピースが美しかった。
それから5年の間遠く離れて暮らしていたけれど、
ずっとつきあいは続いた。
そして始めて会ってから8年後の10月14日
僕らは結婚した。
今から数えると約40年前の17歳のあの日のことは
なんだったのだろう。
家内に聞いても「あらそう」で終わり。
そしてその40年間にもさまざまな人々との
出会いや別れの繰り返し。
人は会い、別れる。
まだ一緒にいる人って、
まだ教えてくださっている。
「サヨナラだけが人生だ」