随想 伊路波村から82~折り梅 020501

人間は感動を求めて動く動物だろうか。

ロングランとなった映画「折り梅」を鑑賞した。
幼い頃、母と別れた老婆と、痴ほう初期でもある彼女と
ともに暮らす嫁を中心とした、家族の物語。

老婆は幼い頃の母との思い出を語る。
梅をいけながら子に語りかける母。
「梅はこうして折っても花を咲かせるのよ。
梅は強い花なの。」

町に働きに出ていた母はいつしか戻らなくなった。
砂浜で母を毎日まちわびる幼い日々。

大人になって結婚し4人の子供が授かる。
だが早くにご主人を病気で亡くす。4人の子供を
おはりこの仕事をしながら、生活保護も他人の世話も
受けずに、育てた。
(そうだうちの母もそうだったんだ。)

自分のライフスタイルを必死に護ろうとする嫁。
老婆は必要とされていない自分の存在を
知る。

限界がきて老人ホームに行く前夜。嫁は老婆とともに寝る。
そして幼い日のことを知る。
老人ホーム行きはやめていた。

デイケアのお寺で老婆の発表。
「あそこに座っているのが、うちの嫁です。
ほんとによくしてくれるのに私は怒ってばっかりいて、
なんでそうしてしまうのかがわからない。」

嫁と老婆のハンカチの投げあいはまさに心が溶け合う
瞬間。笑い嬉し涙とはこんなこと。

だれだって自分を大切にしてもらいたいんだ。