随想 伊路波村から44~赦し

まじめな人たちと食事しました。

自分にとって赦しがたい人を、心から赦し、
その方を兄弟と思えたら、現実は変化するでしょうか。

それは実践した方だけが得られる体験です。
私にもそれはありました。

30代後半から40代にかけて、さまざまな難題を
投げかけてくださる方がいました。

もうおつきあいをやめたいと何度思ったことでしょう。
しかし思い直しました。

このような難題を下さる方は、私を鍛えてくださる方と、
思い直したときから、状況は一変しました。

その方が病気をされた時にはなにかれと、自分の
知っている限りのものを差し上げました。

そして一日も早いお元気を祈りました。
徐々に回復され、その方は、自分が治ったわけを同病の方たちに
知らせ始めました。

もう難題を見せることは、これっぽちもなくなりました。

まさに仏様のように快活で笑顔の方になりました。
それから20年がたちました。

去年その方が亡くなったと知らせが来ました。

葬議場の受付で記帳中にぼろぼろ涙が出てきました。

葬儀中もずっと私に語りかけてくるかのようでした。
人生で私を鍛えてくださった恩人に心から感謝しました。

私の赦しは感謝とともに、ひとつ終わりました。