2千年前に起きたことが今また
当時の奥の院(ユダヤ人たち)は、イエスをローマ軍に処刑させようと必死であった。この当時のパレスティナはローマの属州であった。イエスは、ユダヤ人たちの動きを全て知っていた。彼はゲッセマネの園で祈っていた。そこへ、ローマ軍兵士たちがイエスを捕らえにやって来た。
イエスは、シオンの長老団の前に連れてこられると、次のように言った。
「私が、毎日神殿でおまえたちといたとき、おまえたちは、私に手をかけなかった。だが、今はおまえたちの時間、おまえたちは闇の力である。」と。
イエスは3度も裁判にかけられた。パレスチナには3つの臨時権力があったからである。ローマ人の支配は、ユダヤ人のヘロデ王とローマ総督ポンティウス・ピラトによって行われたが、パレスチナの実際の権力は、ユダヤ人律法学者たちの敵対する二つの集団によって行使されていた。一つは、大祭司アナニアに率いられ、ローマ人が後押しした。もう一つは、大祭司カヤパに率いられ、ユダヤ人が後押しした。イエスは3つの勢力の前で、それぞれ裁判にかけられた。
『新約聖書』は「マルコ伝」の中で、イエスがユダヤのサンヘドリン(最高法院=奥の院)の裁判長カヤパの前に、引き出された時の模様を描いている。
大祭司たちとユダヤ法院全体がイエスを死刑にするため、イエスに不利な証言を求めたが、何一つ見つけられなかった。大勢の証人が、イエスに不利な偽証をしたが、彼らの証言は全然一致しなかったからである。ユダヤ人は途方もない嘘つきであって、彼らの嘘は互いに矛盾していた。だから、どれもこれも、確かな証拠としては、使い物にならなかったのである。
そこで、シオンの長老団はイエスを唆して自分自身に不利な証言をさせることにした。再び大祭司はイエスを尋問して言った。「おまえは誉むべきお方の子、キリストなのか?」と。
イエスは答えて言った。
『そうだ。おまえたちは人の子が力あるお方の右に座って天の曇に包まれて来るのを見るだろう』
すると大祭司は自分の衣を引き裂いていった。
『もはやこれ以上、どんな証人が必要であろうか?諸君は彼の冒瀆の言葉を、今お聞きになった。諸君はどう思われますか?』
すると全員が、「イエスは死罪に当たる」と叫んで宣言した。数名の者がイエスに唾を吐きかけ、目隠しをして殴り、イエスに言った。
『予言してみろ』(王は予言者)。
それから、下役の者から順番にイエスを平手打ちにした。
こうして、我々はユダヤ人たちがイエスに唾を吐きかけ、嘲るのを見る。ユダヤ人たちは、今やこれでイエスを殺すことができるので、歓喜し有頂天になっていた。
こうして、イエスはポンティウス・ピラト(ローマ帝国第5代ユダヤ属州総督)の前で、正式裁判にかけられた。先のユダヤ法院での審理は、法的には何の有効性もなく、これが正式裁判であった。
ピラトは、「民を惑わした件と、貢物を皇帝に納めるのを民に禁じた件」という最初の2つの罪状を無視した。キリストが王であると主張したという第3の罪状については、ピラトは無罪と判断した。イエスは、王というローマ的な意味での忠誠を、人々に要求したわけではなかったからである。従って、ピラトはキリストは無罪だと判断したのである。
だが、ユダヤ人指導者たちの怒りを招かないために、ピラトは被告イエスをヘロデ王のもとへ送った。ところが、ヘロデ王は、裁判をやり直せとでも言うのか、イエスをまた送り返してきた。
ピラトは3度目もまた、「イエスが無罪である」と宣告し、この問題から手を洗った。だがユダヤ人は、「キリストを十字架にかけよ」と要求した。ピラトはもう彼らの要求に譲歩せざるをえなかった。ここで、ローマ帝国の法律は、ユダヤ人たちの叫びの前に、無視されたのである。こうして、我々は、ユダヤ人たちがイエスに唾を吐きかけ、嘲るのを見る。ユダヤ人たちは、今やイエスを殺すことができるので有頂天になっていた。
今回のアメリカ大統領選挙でアメリカ合衆国国民は、トランプ前大統領を選んだが、ユダヤ人の奥の院は、これを無視しろとばかりに、ジョー・バイデンを新大統領にした。今回は、この先どうなるか、映画を見ているようである。