渡邊 利雄 東京大学名誉教授
ベンジャミン・フランクリンの「自伝」の中に、世界でも広く知られた「十三の徳目」があります。
フランクリンにとって「十三の徳目」は「道徳的に完璧な域に達しようという、大胆で困難な計画でした。「自伝」にはその実践法が細かに記されています。
彼はまずこれらの徳目を習慣化するために手帳に表を作り、各徳目についての達成度を厳格に点検していくのです。例えば最初の週は一番目の徳目の「節制」に意識を集中させ、節制に関することは、どんな些細な失敗も目を光らせる。夕方に一日の過ちを黒点で記録する、というものでした。
一週間で黒点がなければこの徳目は達成、それを確認した上で、次の週は二つ目の「沈黙」に移る。若き日のフランクリンは、このようにして「十三の徳目」を実践しました。
全部を一度にやるよりは、まずは特定の徳目に注意を集中させ、それを一つずつ広げるのが効果的だという、いかにも合理主義者らしい彼の考え方が読み取れます。
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