死後のことは分かりません。わたくしは、
死後は生まれる前のいのちのふる里へ
還るものと信じています。しかし論証は
できません。それゆえ生きている間は、
お互いに精いっぱい生きなければなるまいと
思っています。わたくしの申す「人生二度なし」
というのはそこから生まれたコトバです。
〇
「気」とは精神と肉体のキリ結ぶところに
発するものです。精神が肉体に火花を
発し乗りうつってやがて行為にまで
ならねばなりません。吉田松陰先生も、
西普一郎先生も「気」を重んじられましたが、
それはお二人とも単なる哲学者でなくて、
いわば代表的な日本人だったからでしょう。
〇
全一学では語録的表現も重視するのが
一つの特長です。だいたい東洋では、行と
実践を重んずる上から、古来語録的表現が
重んじられて来たわけです。語録というものは、
自分で書いたものより、卓れた弟子によって
筆録されたものの方が出来がよいようです。
一例を申せば道元の語録も懐弉による
「正法眼蔵随聞記」のごとき、また明治以後
では安藤州一氏の手による「清沢先生信仰座談」
の如きがそれです。