森信三先生の言葉 9~われわれ人間も「暑い、寒い」という・・・

 われわれ人間も「暑い、寒い」ということを
言わなくなったら、おそらくそれだけでも、
まずは職場内では、一流の人間になれると
いってよいでしょう。
総じて精神的な鍛練というものは、肉体的な
ものを足場としてでないと本当には入りにくい
ものなのです。たとえば精神的な忍耐力は、
肉体上の忍耐力を足場として始めて身に
つくものです。さればこそ、肉体的に寒暑を
打ちこえて行くことが、やがて人生に於ける
順逆の波に溺れない秘訣ともなるわけです。
実さい人間、暑い寒いを言わないということを
貫いて行けば、やがては順逆を超える境地にも
到り得るといってよいでしょう。
順逆をこえるとは、順境にあっても調子に
のらず、逆境にあってもへこたれないということで、
この点は実に味わいの深いところです。

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真に意義ある人生を送ろうとするなら、人並みの
生き方をしているだけではいけません。
それには、少なくとも人の一倍半は働いて、
しかも報酬は普通の二割減でも、満足しようという基準を
打ち立てて行くことです。そして行くゆくは
その働きを二人前、三人前と伸ばしていって、
報酬の方は、いよいよ少なくても我慢できる
ような人間に自分を鍛え上げてゆくのです。
実さい人間の偉さというものは、ある意味では、
働くことを多くして、しかもその受けとる
ところが、少ない処から生まれてくるとも
いえましょう。