奥の院通信から R5 6/27 「何のためのG7だったか」

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 先月5月広島でG7が開催された。ここに安倍晋三元首相が立っておられたら事態は違っただろうなあと思う人は多い筈である。
 G7は、世界を平和にしてくれる組織であるべきだと誰しも思う。G7広島もそうであるだろうと多くの人は期待していたと思う。総論的にはテレビ、新聞などのメディアは良いG7だったと評価しているようであるが、そこには今起きているウクライナ戦争の当事者であるロシアのプーチンは参加していない。

 そもそも、戦争は外交の延長戦上で起きるもので、今回のウクライナ戦争も、ロシアとウクライナの間の外交の延長線上にある。昨日の通信でも書いたが、今回のこの戦争(紛争)は一旦双方合意したミンスク合意の延長線上にあることは事実である。

 戦争が始まった時には、どちらが良いとか、悪いとかはない。双方自分の方が正しいとの気持ちを持って行動している。しかし、今回はテレビや新聞などのメディアを見て、ロシアが悪いと思っている人が多いと思う。戦争が始まってしまったら、当事者双方が、先ず自分たちが正しいとの気持ちを抑えて、外交交渉の場を作ることが大事である。

 しかし、戦っている本人は、どうしても自分が正しいと主張し続けることになる。それが正しいかどうかは第三者が判断するのであるが、戦いの当事者は、国民や軍が後ろに控えているから、言い続けざるを得ない。そこで第三者の仲介の国があれば、解決へ向けての動きが生まれる。
 例えば日露戦争の時、外交交渉に当たった小村寿太郎は言いたいことを言った。しかし、アメリカのセオドア・ルーズベルト大統領の手前、少しは聞かざるを得なかったという言い訳が出来た。

 ところが、今回のウクライナ戦争では、公式に仲介に立とうというG7の国がなかった。それどころか、G7広島で、バイデン米大統領はF16戦闘機の供与を決めたと発表した。戦いの片方のウクライナにガソリンをかけ戦争継続を煽った。このような声明がG7後に出たこと自体異常である。「ウクライナ頑張れの応援団」と化した。これに対して、7つの民主主義国家は、みな仲介の労を取ろうとしないで逆に戦争継続を煽った。

 一方、ここで仲介の労を取ろうと手を挙げたのが中共の習近平主席だった。勿論、中共という全体主義国家に対しては、あまり前向きな評価を与えることには躊躇する。しかし、去る2月には、ウクライナ戦争が始まって1周年記念の時に、習近平主席とプーチン大統領は非常に長時間話し合っていることは事実である。

 そしてこの時12の和平提案が出された。
 1、国家の主権を尊重 2、冷戦の考え方を放棄 3、敵対行為をやめる 4、和平交渉の再開 5、人道危機の解決 6、民間人と戦争捕虜の保護 7、原子力発電所の安全確保 8、戦略的リスクの軽減 9、穀物輸出の促進 10、一方的な制裁を止める  11、サプライチェーンの安定化 12、復興計画を出した。

 その上で、習近平主席は外交で解決する道筋を作る努力を我々はするという声明を出した。皮肉なことに世界で最悪の、全体主義的な政治を行っている(と思われている)習近平主席が、仲介に入るという声明を出したのである。実際に今、公にウクライナのゼレンスキー大統領やプーチン大統領の下にいる幹部たちと精力的に、詰めているという。

 これがどのような形で実を結ぶか、まだ、誰にも分からないが、実際に外交で解決させようという努力をしているのが中国だという現実、そしてG7では一切仲介に入ると手を挙るものはなく、逆に紛争を煽ったといった現実は記憶しておくべきかも知れない。

 全ての戦いというのは、どちらか一方が悪いというのは殆どない。そこに日本のメディア、アメリカのメディアで伝えてないことが当然あるはずである。メディアがあえて世論をミスリードする。しかも、それがディープステートの思惑で行われるのである。