伊勢ー白山 道から R5 10/13 人の悩みにも旬(しゅん)が有ります

https://blog.goo.ne.jp/isehakusandou/e/9e73e27e525f2ef157f295fe151704a3

日本の食生活では、旬(しゅん)という概念が有ります。これは、野菜や果物、魚介類などが、よくとれて味も良い時期を言います。
感性に敏感な日本人らしい表現に思います。

実は、人の悩みにも、旬が有るのです。
人は、「ある期間だけの悩み」に対して、全人生(自殺など)を懸けてしまう愚かな面が有ります。
冷静に考えれば、数十年後には「今の悩みの対象」は、老後の自分には不要に成っていることが分かるはずです。

ここで、釈尊のエピソードを紹介します。

釈尊の女性の弟子が、独立して女性専用の僧院を開いていました。
そこへ、ある町から様々な年齢層の女性たちが、僧院で一定期間の修行をさせて欲しいとやって来ました。その理由を僧院主が聞きますと、

・ 若い未婚の女性は、富裕者の男性と結婚が出来るように祈願したい。
・ 既婚女性は、夫の浮気癖を無くしたい。
・ 老女は、来生には富豪の家の子供に生まれたいので祈願したい。
などなどと言うのでした。

僧院主は、目先のこと、自分だけのことしか希望を持てない女性たちに落胆し、釈尊の意見を聞きたいと思い、女性たちを釈尊の所へと連れて行きました。
僧院主は、女性たちそれぞれの修行をしたい理由を釈尊に説明しました。
すると釈尊は、このように話しました。

・ 人の悩みの内容は、期間限定であり、必ず変わって行く。
・ 年数が経過すれば、以前の自分の望みは今は不要で、むしろ避けたい内容にも変わる。

・ 老女には、富裕者の若い男性との結婚は不要ですし、希望もしません。
・ 若い未婚女性は、将来の夫の浮気防止など、考えもしません。

・ つまり修行したいほどの今の願望も、時と立場が変われば、無意味でムダなことになる。

そして釈尊は、僧院主の女性に向かって、

・ 彼女たちの願望の内容の悩みは、それへの思い・執着が強いほど、次の輪廻転生(生まれ変わり)へのエネルギー源と成るのだ。

・ それなのに、人は今の悩みに対して、祈願するほどの時間と労力を掛けたがる。

・ それはムダなことであり、来生でも今と同じように悩む環境に生まれ出ることを、彼女たちは自ら固めて行く最中であること。悩みの転生は終わらない。

このように釈尊は、僧院主には専門的な意味を説明して終わりました。
今日の話で言いたいことは、

・ 今の自分の悩みも、「今だけの悩み」「必ず終わって行く悩み」であり、期間限定であることを、忘れないで欲しいのです。
そういう後で価値が変わる悩みに対して、自分の全人生を潰しては生けません。

今の悩みに対しては、
・ 自分が出来る最善への努力をしながら、静観しましょう。
・ その悩みも、いつか良い思い出に変わることを知っていましょう。

この冷静さが有れば、出来る努力をする内に、新たな良い知恵と縁が来るものです。
頑張って生きましょう。