モーゼが居をかまえたという坊屋敷あとにいた。台風がまだ完全に去って
いない石川県宝達山にそれはあった。雨が風とともに舞っていた。
最初に宝達山のふもとにあるモーゼの墓を訪ねて、それは3度目のこと。
モーゼの墓の案内人Kさんに同行いただいた。
一度目の墓の写真に玉響(たまゆら)型の光が写っていた。下向きだった。
そして、ボリビア・サンタクルスの写真は同じ形が上向きに写った。その
後、バリ島では島のあちらこちらでほぼ横向きの玉響がうつったのだ。3
つの玉響の位置は異なって、この地球上の異なった場所でのもの。さっぱ
りわからない現象だが、モーゼの墓には、何かがあるのかもしれないと感
じた。
そんな最初のモーゼとの出逢いから5年。Kさんから、「行ってみますか
?」と促され、モーゼが住んだかもしれないと言われる坊屋敷に向かう。
急な山道を右に左にハンドルを切りながら車は走る。
近くになったのか、あの不思議な感覚が蘇る。上海・玉仏寺、剣山、ボリ
ビア・ティアワナコ、インド・凌寿山、ヨルダン・ネボ山、そして十和田
神社、能登・真脇遺跡でのあの感覚。
「ここです。」と道路右脇にある木立に草が生い茂る場所をKさんは指定
した。
雨が激しく降っている。何かが惹きつけている。役の行者の宿坊であり、
ここにもモーセも住んでいた?
沢に向かって確かに住居があったような狭い平地が段々にある。高台のあ
る場所に、もの凄いエネルギーを感じる。草をかきわけ、悠久の昔に戻っ
た想い。惹きつけるものは何か。
雨がますます激しくなったようだ。他の呼ぶ声に、我にかえる。その木立
は風もおだやかだ。確かに何かがあったのだろう。モーゼの墓にも墓の近
くの古宮にも感じることのなかったいのちのふるえがそこにはあった。
またきっとこよう。ありがとうモーゼ。ありがとうKさん。