西舘 好子 NPO法人日本ららばい協会理事長
僕の声を聞いて
「おかあさん ぶってもけってもかまわないから 僕を嫌いにならないで。
おかあさん おねがいだから僕の目をちゃんと見て。
おかあさん お前を生まなければよかったなんて言わないで僕はちゃんと生きているんだから。おかあさん やさしくなくてもいいから、僕を触って、おかあさん 赤ちゃんのとき抱いてくれたように抱いて。おかあさん 僕の話にうなづいてくれないかなあ。
つらい、悲しい、もうダメ、お母さんの言葉ってそれしかないの。赤い爪魔女みたい。
ゴム手袋のお台所、お部屋のあちこちにある化粧品、僕の家のお母さんのにおい、僕の入れない世界で満ちている。おかあさん お母さんのにおいが欲しい、優しい懐かしいにおいが。
おかあさん お願いだから手をつなごう、僕より先に歩いて行かないで。おかあさん お願いだから一緒に歌おう、カラオケ屋じゃないよお家でだよ。おかあさん 500円玉おいてくれるより、おにぎり一個の方がうれしいのに。
おかあさん 笑わなくなったね、僕一日何度おかあさんが笑うかノートにつけているの」